2019年10月3日、昨年歌手活動を引退した安室奈美恵さんに、沖縄タイムス賞特別賞が贈呈されたことがわかりました。
受賞については、同年8月15日に発表されていましたが、このたび表彰状と記念の盾(琉球ガラス製)が代理人のエイベックス・エンタテインメントの樋口慎太郎取締役に贈られたそうです。
おめでとうございます!
「平成の歌姫」功績たたえ 安室さんにタイムス賞特別賞贈呈 https://t.co/ep8mXsLQMG #安室奈美恵 #okinawa #沖縄
— 沖縄タイムス (@theokinawatimes) October 3, 2019
安室奈美恵さんの表彰と言えば、先月(2019年9月)受賞した 「琉球新報賞」も記憶に新しいところ。
今回の「沖縄タイムス賞」とはどのような賞で、そしてなぜ安室さんは“特別賞”なのでしょうか?
沖縄タイムス賞とは?
沖縄タイムス賞は1957年に設けられ、今年(2019年)63回を迎える歴史ある賞です。
沖縄県内で新聞を発行している沖縄タイムス社が、沖縄県内の各分野で著しく貢献した個人や団体を表彰するもので、賞の種別は次のようになっています。
- 自治賞
- 産業賞
- 文化賞
- 体育賞
- 社会奉仕賞
今回安室さんが受賞したのは、例年設けられている上記の賞ではなく、“特別賞”です。
受賞理由は、特定の活動に対してではなく、「これまでの功績を讃えて」と発表されています。
「沖縄タイムス賞」の正賞受賞は県内出身者に限られ、県外出身者が沖縄の地域社会に貢献した際には“感謝状”が贈られることになっています。
安室奈美恵さんが“特別賞”を受賞したワケは?
沖縄タイムス賞“特別賞”とは、その名の通り、通常の表彰とは別に“特別に”贈られる賞です。
ではなぜ、安室さんは通常の沖縄タイムス賞ではなく、“特別賞”だったのでしょうか。
同年2019年の沖縄タイムス賞と、過去の受賞者の傾向を調べてみました。
2019年度 沖縄タイムス賞の受賞者
2019年度(第63回)沖縄タイムス賞は、2019年6月に受賞者が発表され、同年7月1日に贈呈式が行われています。
受賞者の名前と受賞部門、受賞理由となる功績は次の通りです。
【2019年度 沖縄タイムス賞受賞者】
石川文洋氏(文化部門) | 報道写真家として世界各地の戦場を取材、発信した功績 |
---|---|
松本嘉代子氏(文化部門) | 琉球料理を通して食文化の継承と発展に貢献 |
志田房子氏(文化部門) | 琉球古典舞踊の継承と発展に尽くした功績 |
與座初美氏(社会活動部門) | 家族の問題にきめ細かく向き合い子育て支援に尽力 |
琉球海運株式会社 (産業部門) |
海運業を通して県民の暮らしと物流を支え経済振興に貢献 |
故翁長雄志氏 (自治部門・特別表彰) |
沖縄の政治行政に尽くした功績 |
琉球新報賞と同様、必ず全ての部門において選出するわけではなく、該当者がいない際は受賞者なしとなるようですね。
2019年度は、育賞の受賞者が選出されていません。
自治部門で受賞した故翁長雄志氏(元沖縄県知事)について「特別表彰」となっていますが、おそらくご本人が亡くなってからの表彰をいうことで“特別”とされているのだと思います。
部門としては、例年設けられている自治部門での受賞です。
過去5年間の文化賞受賞者の傾向
安室奈美恵さんが、2019年に6月に発表された通常の沖縄タイムス賞には選出されず、
2か月後の8月にあえて“特別賞”として受賞が決まった理由を考えてみました。
まず、もし安室さんが通常の沖縄タイムス賞を受賞するとしたら、部門としては「文化賞」に該当すると考えられます。
琉球新報賞でも、「文化・芸術功労賞」の受賞でした。
文化賞の傾向を確認するために、過去5年間の文化賞受賞者と功績を調べてみました。
【過去5年間の沖縄タイムス賞文化賞受賞者】
2018年(62回) | 島袋光晴氏(島袋本流紫の会宗家) |
---|---|
2017年(61回) | 宮城嗣幸氏(琉球古典音楽野村流松村統絃会名誉会長) |
同年 | 宮城幸子氏(真踊流佳幸の会会主) |
2016年(60回) | 文化賞=大城政子氏(琉球舞踊大城流寿乃会宗家) |
同年 | 国場幸房氏(国建名誉会長) |
2015年(59回) | 南條喜久子氏(南條バレエ研究所主宰) |
2014年(58回) | 与儀達治氏(元県美術家連盟会長) |
傾向としては、
- 沖縄独特の文化に携わっている
- 沖縄出身というだけではなく、活動拠点を沖縄県内においている
ということが考えられます。
この点においては、安室奈美恵さんは通常の沖縄タイムス賞の選考基準としては該当しなかったのかもしれません。
それでも、昨年(2018年)の引退を通して、安室さんが沖縄に残した業績があまりにも大きいことを再認識することとなったために、“特別賞”が設けられたのではないでしょうか。
これまで他に特別賞を受賞した人はいる?
では、安室奈美恵さん以外にこれまで沖縄タイムス“特別賞”を受賞した人はいるのでしょうか?
過去の沖縄タイムス賞について調べてみましたが、ネットで調べられる範囲で“特別賞”の記録はみつかりませんでした。
「沖縄タイムス特別スポーツ賞」というものがありますが、この賞は元々「沖縄タイムス賞」とは別に設けられているものです。
近年では2018年にリーグ本塁打王を獲得した県出身の山川穂高内野手と、同最多勝利投手に輝いた多和田真三郎投手に贈られています。
まとめ
2018年9月に歌手活動を引退した安室奈美恵さんが、沖縄タイムス賞の特別賞を受賞しました。
例年の沖縄タイムス賞の選考基準とは少し異なる活動内容だったために、“特別賞”の受賞ということになったのかもしれません。
通常存在しない賞を設けてまで表彰されるほど、安室さんが沖縄に残した業績が大きいことを改めて実感します。
今年(2019年)9月に行われた花火ショーなどのイベントも、本人不在ながら県内外から多くの人が集まり大成功を収めているので、今回の受賞も誰もが納得するものだったでしょう。
メモリアルデーとなる9月16日(2018年に安室さんが引退した日)のイベントは今後も続ける方針との一部報道もありますし、まだまだ安室さんの人気や影響は衰えることはなさそうですね。
安室奈美恵さん、ファンの皆さん、沖縄タイムス賞の特別賞受賞おめでとうございます!
今回贈られたという琉球ガラスの盾、見てみたいですね。
安室奈美恵記念館が実現したら、見ることができるでしょうか…?