2019年9月25日(水)、第55回琉球新報賞の贈呈式・祝賀会が沖縄ハーバービューホテル(那覇市)で行われました。
今回の受賞者で特に注目なのは、沖縄県出身で、昨年(2018年)に歌手活動を引退した安室奈美恵さん。
事前に発表があった通り、本人が同賞の贈呈式に姿を現すことはありませんでしたが、代理人として安室さんが所属していたエイベックス・エンタテインメントの樋口取締役が出席しました。
このように引退後はキッパリと公の場に姿を現すことをキッパリと辞めた安室さんですが、彼女がこのタイミングで琉球新報賞を受賞したのはなぜなのでしょうか?
琉球新報賞というものがどのような賞なのか、
またこれまでの受賞者にはどのような方かたがいるのかなどを確認しながら考えていきたいと思います。
安室奈美恵さんが受賞した“琉球新報賞”とはどんな賞?
琉球新報賞は、沖縄県内で発行されている新聞の琉球新報が、創刊70周年を迎えた1963年に創設された賞です。
沖縄県の発展や振興に貢献・尽力した人の功績をたたえ、主に以下の分野においてその活躍が目覚ましい人が選出され、毎年1回贈呈式が行われています。
- 沖縄振興・自治
- 経済・産業
- 社会・教育
- 文化・芸術
- スポーツ
今回安室奈美恵さんが受賞したのは、2019年度の「文化・芸術功労賞」です。
“琉球新報賞”これまでの受賞者は?
これまでの琉球新報賞において、安室奈美恵さんと同じ文化・芸術功労賞を受賞された方は次の通りです。
(琉球新報「琉球新報賞 受賞者一覧」より抜粋して作成)
第1回(1964年) | 山田真山氏(美術に関する功績) |
---|---|
第7回(1971年) | 城間栄喜氏(伝統芸能に示した功績) |
第9回(1973年) | 生駒弘氏(伝統工芸としての琉球漆器を育てた功績) |
第10回(1974年) | 大湾ユキ氏(琉球古典音楽(筝曲)の保存、継承に尽くした功績) |
第16回(1980年) | 森政三氏(文化財建造物の復元活動に尽くした功績) |
第18回(1982年) | 鎌倉芳太郎氏(琉球文化の研究と紹介に尽くした功績) |
第20回(1984年) | 金武良章氏(琉球古典芸能保存、継承に尽くした功績) |
第21回(1985年) | 金城次郎氏(琉球陶器の新興に尽くした功績) |
第23回(1987年) | 島常賀氏(陶芸に新境地を開き、伝統工芸の評価を高めた功績) |
第25回(1989年) | 大宜見小太郎氏(郷土芸能文化の振興・発展に尽くした功績) |
同年 | 渡久地政一氏(人材育成と音楽文化の向上に尽くした功績) |
第27回(1991年) | 宮里春行氏(琉球古典芸能の継承発展に尽くした功績) |
第29回(1993年) | 平良敏子氏(沖縄特産の芭蕉布を守り、伝統技能を復活させた功績) |
同年 | 宮平三栄氏(沖縄の伝統音楽琉球古典音楽の普及と後継者育成の功績) |
第32回(1996年) | 阿波連本啓氏(琉球舞踊の後継者育成と新舞踊創作に情熱) |
第33回(1997年) | 真喜志康忠氏(郷土演劇の復興と発展に功績) |
第35回(1999年) | 宇根伸三郎氏(琉球芸能の継承発展に貢献) |
第36回(2000年) | 児玉清子氏(関東で郷土芸能の普及・発展に尽くした功績) |
第38回(2002年) | 島袋正雄氏(琉球古典音楽の継承と発展に尽くした功績) |
第39回(2003年) | 宮平初子氏(首里の織物を復興させた功績) |
第40回(2004年) | 照喜納朝一氏(琉球古典音楽の継承発展に尽くした功績) |
第41回(2005年) | 船越義彰氏(文学芸能分野に尽くした功績) |
第42回(2006年) | 安次富長昭氏(文化・芸術の発展新興に尽くした功績) |
同年 | 北島角子氏(郷土芸能の新興と平和活動に尽くした功績) |
第43回(2007年) | 崎間麗進氏(文化・芸能及び青少年の健全育成に尽くした功績) |
第45回(2009年) | 山田實氏(沖縄県の写真界発展に尽くした功績) |
第46回(2010年) | 仲田幸子氏(文化・芸術功労。沖縄喜劇界の第一人者) |
第48回(2012年) | 儀間比呂志氏(文化・芸術功労) |
第49回(2013年) | 宮城能鳳氏(文化・芸術功労) |
第50回(2014年) | 三隅治雄 氏(文化・芸術功労) |
第51回(2015年) | 平良とみ氏(文化・芸術功労) |
同年 | 稲嶺盛吉氏(文化・芸術功労) |
第52回(2016年) | 普久原恒勇氏(文化・芸術功労) |
同年 | 谷田嘉子氏(文化・芸術功労) |
同年 | 玉城節子氏(文化・芸術功労) |
同年 | 玉城秀子氏(文化・芸術功労) |
同年 | 金城美枝子氏(文化・芸術功労) |
第53回(2017年) | 西江喜春氏(文化・芸術功労) |
同年 | 玉那覇有公氏(文化・芸術功労) |
同年 | 瀬名波孝子氏(文化・芸術功労) |
第54回(2018年) | 南條喜久子氏(文化・芸術功労) |
第55回(2019年) | 安里 ヒロ子氏(文化・芸術功労) |
同 | 安室 奈美恵氏(文化・芸術功労) |
55回を迎える歴史ある賞なので、さすがに多くの受賞者の方がいらっしゃることが分かると思います。
県外の方には見慣れない名前ばかりに感じるかもしれませんが、
2015年に受賞されている平良とみさんは、全国的にも有名な映画作品「ナビイの恋」や、NHKの朝ドラ「ちゃらさん」に出演してたので、沖縄好きな方にはおなじみではないでしょうか。
連続テレビ小説 ちゅらさん 完全版 DVD-BOX 全13枚【NHKスクエア限定商品】
その他にも、伝統工芸や伝統芸能が多く存在する沖縄において尽力されてきた多くの方々が受賞されています。
この中に安室奈美恵さんの名前が並ぶことはとても名誉あることですよね。
安室奈美恵さんが“琉球新報賞”を受賞した理由は?
先程示した歴代受賞者の表を見ていただけると分かる通り、
「文化・芸術功労賞」において、毎年必ず受賞者が選出されるわけではないようです。
ひとりも選ばれていない年もあれば、複数人が同年に受賞(2016年の5人受賞が最高)している年もありますね。
つまり、無理に受賞者を選ぶことなく、本当に賞にふさわしいとされる該当者がいるときにだけ与えられるものだということが分かります。
もちろん現役時代から人気・実力ともに申し分のなかった安室さんですが、
昨年(2018年)の引退を通じて、安室奈美恵さんがこれまで残してきた業績や、地元沖縄への貢献度の大きさが改めて評価されたことが、今回の賞を受賞した一番大きな理由ではないでしょうか。
引退から1年が経過した今年(2019年)も、
本人の出演こそなくとも、安室奈美恵さん関連のイベントということで多くの方が県外からもかけつけ、沖縄を盛り上げてくれました。
国内最南端に位置しているという立地的な問題もあり、現役のアーティストでも集客に苦労すると言われる沖縄で、ここまで人を集めるだけの影響力をもっているのは本当に偉大なことなのです。
2019年度に行われた安室奈美恵さん関連のイベントなどについてはこちら。
安室奈美恵さん“琉球新報賞”を受賞 まとめ
昨年(2018年)歌手活動を引退した安室奈美恵さんが、2019年度の琉球新報賞を受賞しました。
全国的に知名度や人気も高かった安室さん。
地元沖縄に残してくれたものは、誰もが認めざるを得ないとても大きなものだったことを改めて実感するきっかけになりましたね。
目に見える形で評価されることが全てではありませんが、またひとつ安室さんの歩んできた証ができたことは、長年応援されてきたファンの方々にとっても喜ばしいものではないでしょうか。
安室奈美恵さん、歴史ある賞の受賞おめでとうございます!